スイス、市民防衛の義務期間を40歳までに延長
スイスでは2026年1月1日から、市民防衛に就く義務の満了年齢が40歳に延長される。災害救助などの人員不足を解消するのが狙い。またスイス政府は、女性の志願兵を増やすため、説明会への参加を女性にも義務付けることを検討している。
市民防衛(Zivilschutz/protection civile)は災害や緊急事態の際にスイス住民を守る活動を任務で、兵役には不適格とされた男性に義務付けられる。スイス連邦内閣(政府)は12日、改正国民・市民防衛法を来年1月1日に施行すると発表外部リンクした。市民防衛義務の満了年齢は2021年に36歳に引き下げたが、再び40歳に引き上げる。
年齢引き上げにより、市民防衛の人員不足の解消を狙う。政府によると、国は7万2000人の動員を目標としているが、2025年初めに動員できたのは5万7000人にとどまった。新規採用が毎年約4000人である現状を踏まえると動員数は増える見込みがなく、「対策を講じなければサービスの縮小につながる」と強調した。
女性にも説明会参加を義務付けへ
連邦内閣は同日、兵役・市民防衛の説明会(オリエンテーション・デー)への参加をスイス人女性にも義務付ける内容の法改正案を発表した。
説明会では軍隊への採用プロセスやキャリアパス、軍・市民防衛の任務における権利と責任などについて説明を受ける。現在は18歳になった男性に参加が義務付けられているが、女性の参加は任意だ。
政府は女性にも参加を義務付けることで「機会均等の促進につながる」と説明する。また「詳細な情報提供により女性の志願兵が増える」とも期待をかける。
女性への義務拡大には連邦憲法と関連する連邦法の改正が必要。政府は改正案を2026年2月28日まで意見調整手続きに付す。議会採決・準備期間を経て、2030年1月1日の発効を見込む。
独語からの翻訳・追記:ムートゥ朋子
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